ファルスタッフ

本日は国立歌劇場でファルスタッフを観る。

座る席がひとつ違うだけでまったく見えなくなることにびっくり。いや、恐ろしいことでした。
直前に駆けつけたので個室は真っ暗。4と5を逆に座ってしまったらしいのだが、なにやら隣の人が浮かれながら喋っている。しかし意味がわからず。

始まってすぐにまったく見えないことに気づく。隣の人は「勝手に見えない席に座ってくれた!」と喜んでいた様子。ということでずっとオケを観ていました。
休憩にはいったので隣の人が戻ってきたとき席を移動して説明をする。「間違えて座ってしまったけどこっちが私の席みたいです。君の席に座って申し訳ない」というと
「I think it's OK 」と返してきた。

そのことを現地に住んでいる人に話すと
「知っていたのなら教えるべきだ。」
とみんな怒っていた。
見える席をわざわざ指定してとってくれたらしいので、その苦労を無駄にしてしまったようです。

後半はほとんど観ることができました。
同じ10ユーロの席でも見え方が違うので本当に注意が必要です。

冬の旅

ウィーン大学のM先生のプライベートレッスン・講義。
日本で師事している先生もすばらしいと絶賛する先生。お話もすばらしかったのですが演奏もとてもすばらしいものでした。

「さすらい」、「さすらう」という意味について考えさせられました。何かを得ようとさすらうのか、今あるものから逃れるためにさすらうのか、雪が降りしきるウィーンの町を歩きながらずっと考えました。

いくつかの演奏を聴き比べてその解釈などをいくつか教えていただいた。昨日言語学者のMさんのところで冬の旅の詩の朗読をして発音を直していただいたおかげで、今日は少しだけできました。1曲をものにするのも非常に大変なのに全24曲というのは大変です。いつになったら形にできるのでしょうか・・・。不安あり楽しみでもあります。

レッスン

ウィーン国立音楽大学の弦楽伴奏者をされているN先生のレッスンが風邪のためなくなり今日はコンツェントゥスムジクスのH先生のレッスン。

曲はモーツァルトのヴァイオリンソナタ454。

モーツァルトなのでどちらかというと歌いすぎずに作りたいと思っていました。しかしH先生は「オペラを意識して」ということを何度もおっしゃった。モーツァルトの後期であるからなのだろうか。時間的にもルバートととれるのではと思う部分も、先生が歌ったり弾いてくれるととても自然な気がしました。

「オペラのように」というとなんとなくやりすぎてしまう気がするのは自分だけなのでしょうか。もし他にもそう感じる人が多数いるならばきっと日本の音楽教育の弱点なのかもしれません。モーツァルトの「オペラ」というものは、イタリアオペラでいう「オペラ」というものの捉え方が違うのかもしれません。

考えればあたりまえか・・・。

特に印象に残ったのは「この穏やかな部分は、長いこと離れていた自分の家に戻ってきた時のように・・」というもの。
そのときの伝え方がとてもうれしそうで、きっとモーツァルトもこの部分を楽しんで作ったのかもしれないなと思ったのでした。
pの表現を追及してきましたが、もっと穏やかさの表現を豊かにしたいと思いました。

終わってからご家族とみんなで昼食。
ブルガリア料理がとてもおいしかった。

合わせ

夜にヴァイオリニストのTさんとの合わせ。
先週Tさんはコンサートを終えたばかり。モーゼスの話では最後のシューマンがよかったとか。
子供たちがモーツァルトのヴァイオリンソナタに合わせてピアノの横でずっと踊ってくれました。とにかく明るい子供たちでピアノも「聴いて聴いて」、バレエも「見て見て」、食事のときは「隣に座りたい人誰?」とすべてが前向き。
人がとても好きだということが伝わってくるのでそのことに感動しました。
ああやって何事にも全力で表現することをいつからしなくなってしまうんだろうと帰り際に考えてしまいました。

Tさんが明日来る絨毯のことで頭がいっぱいなのが面白かった。

渡欧

ウィーン着。
空港まで来てくれた友人に連れられてレッスンを受けるH先生のカルテットのコンサートに向かう。
場所は楽友協会の室内楽ホールへ。

これまでも日本人のすばらしいカルテットを聴く機会がありましたが、このカルテットもすばらしかった。とにかく各自独立した音楽性を主張しているにもかかわらずそれが一体となって聴こえるのです。同系の楽器によるアンサンブルの場合、響きをまとめたほうがよいものになるのではないかとずっと思ってきましたが、そういう安定性よりも、とにかく各パートを楽しんで弾いているのが伝わってくるのです。
カルテットの醍醐味は各パートの主張なのかも知れないなと考えさせられました。アンサンブルをやる自分にとってはとてもよい経験になりました。

本番終了

音楽で大切なのは3K[Kennen(知識)、Konnen(演奏能力)、Kunst(芸術)]by エリザベート・ヴァイスハーレさん

今日の演奏会はとても勉強になりました。冬の風物詩とされる曲だけになかなかに盛り上がりました。
オーケストラはもちろんすばらしかったのですが、重要な音で何度かポヘッていたのが残念でした。ミスでも傷にならないものもあれば致命傷になるものもあるんだなと実感しました。なにより指揮者が気にして一瞬音楽の流れが滞るというか硬くなってしまうのです。

帰りにバサラで夕食。
美味でした。

さて、あと5時間後にいよいよ日本脱出です。
よい勉強ができるといいなと思います。
がんばろう。